高校生のみなさまへ

 名大地理学教室に興味を持っている高校生の皆さんは、名古屋大学文学部を受験してください。名古屋大学では、8月上旬にオープンキャンパスを開催しており、地理学教室の見学もできます。積極的にオープンキャンパスに参加してください。詳細は、名古屋大学のホームページでオープンキャンパス案内をチェックしてください。
 大学で学ぶ「地理学」は、高校社会科の「地理」とはかなり違います。人文社会系では、文化、社会、経済、人口、防災・減災、都市、農林水産業、そして自然科学系では、地形、気候、水環境、植生、地理情報システムに関わる事象を「空間」や「地域」を主要概念として幅広く扱います。国内だけではなく、海外での研究も可能です。

文学部の地理学教室希望者へ

 晴れて名古屋大学文学部に入学し、地理学に多少なりとも関心を持っている学生は、1年次に開講される「人文学入門IV」で地理学のイントロダクションを受講してください。また、全学の教養科目や基礎セミナーでも1年生向けの地理学に関する講義がありますので、積極的に受講してください。さらに、2022年度から「地理学概論I」が1年次(秋学期)から受講できるようになりました。大学の「地理学」と高校社会科の「地理」は違います。それらを受講して、大学で学ぶ「地理学」の面白さを体験してください。1年次の10月初旬に2年次以降の研究室分属を希望するための説明会があるので、地理学に興味を持った学生は、是非、地理学教室の説明会に参加してください。研究室訪問もいつでも受け付けていますので、遠慮なくメールで連絡してください。
 地理学教室に分属された後は、2〜3年次に自然地理学と人文地理学の専門分野の講義、調査実習、基礎演習、文献購読を受講し、4年次に卒業論文を執筆します。過去の卒業論文テーマは学位論文のページで確認できます。他の研究室と違い、地理学教室では特定の教員から1対1で指導を受けるのではなく、集団指導体制を採用しており、全ての教員から指導を受けることができます。当然、最も学生が専門とする分野に近い教員から密な指導を受けることも可能となっています。
 文学部では中学校教諭一種免許状(国語・社会・英語)および高等学校教諭一種免許状(国語・公民・地理歴史・英語)、そして学芸員資格が取得できます。詳しくは、文学部の在学生向け情報を参照してください。地理学教室の多くの卒業生は、中学・高校教員としても活躍しています。

大学院の受験希望者へ

 大学院で名大地理学教室で学ぶには、大学院環境学研究科 社会環境学専攻 地理学講座(以下、地理学教室)に入学します。具体的に集計していませんが、博士前期課程(修士課程)に入学した約3分の2の大学院生は、修士を取得した後に民間企業、また公務員や中学・高校教員として就職し、約3分の1は博士後期課程(博士課程)に進学します。環境学研究科社会環境学専攻では、中学校専修免許(社会)および高等学校専修免許(地理歴史・公民)が取得できます。

大学院で指導可能な分野

 地理学教室では、地形学、地理情報システムおよびリモートセンシング、人文地理学全般を学ぶことが可能です。なお、地球環境学専攻・大気水圏科学系では、気象・気候学および水文学が学ぶことができます。毎年5月に大学院説明会が開催され、地理学教室公開および教員との相談などの機会があるので、大学院受験希望者は、可能な限り大学院説明会にご参加ください。また大学院説明会以外にも、希望があれば随時面談などを受け付けますので、予定される主指導教員にメールでコンタクトを取ってください。
 なお、当地理学教室は、国内有数の地理学教室であることは間違いありませんが、それでも地理学の全領域をカバーしている訳ではありません。したがって、大学院入学を希望される受験生の研究分野が当地理学教室で指導可能かどうかについて受験前に確認しています。大学院の入試を受ける前には、必ず地理学教室の教員にコンタクトして、研究内容について相談してください。なお、相談の有無が合否に関係することはありません。

指導体制とその特徴

 地理学教室は、集団指導体制を採用しているので、スタッフ全員が指導教員(主指導教員1名を選び、残りのスタッフ全員が副指導教員)となります。学生は地理学教室の全メンバーが出席する「地理学総合セミナー」に参加し、それ以外に、主指導教員のセミナーなどで研究指導を受けます。また、ほとんどの大学院生は自らの専門に近い副指導教員のセミナーも受講しています。地理学教室が採用する集団指導体制は、主指導教員が専門とする分野のみならず、副指導教員や他分野の大学院生からの意見を参考にしながら、幅広い知識の習得と多様な考え方を理解することを目的としています。
 地理学教室の全ての教員と大学院生が出席する「地理学総合セミナー」では、調査結果の報告よりも、研究目的や研究手法の妥当性について中心に議論することを目的としています。したがって、日頃から多くの文献を読み、また学会や研究会に積極的に参加して、「なぜその研究を行う必要があるのか」といった研究の意義を明解に説明できるように準備しなければなりません。「地理学総合セミナー」での発表は、院生にとって試練の場ですが、このような厳しいセミナーを経験することによって、地理学教室の博士後期課程の大学院生の多くは日本学術振興会の特別研究員として採用され、また学位を取得後した後は、ほぼ全員が国内外の大学教員や省庁研究所等の研究職として就職していきます。名大地理学講座出身者が活躍している背景には、指導教員の専門にとらわれずに幅広い知識の習得と多様な考え方を理解できる機会、自由に議論を交わせる環境、そして基本をしっかり身につけることができるセミナーが機能しているからだと言えます。

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