以下の文章は、私が非常勤講師を務めているA中学校における、昨夏の宿題についてのコメントを整理したものである。なお、生徒は中学1年生、教科は「社会科」である。


夏休みの宿題の後で
―よりよいレポート作成のために―

 I.はじめに
 II.調べる
  (1) 何を調べるか、どうやって調べるか
  (2) 方法について
  (3) 調べる前の印象
  (4) とにかく調べる、色々調べる
  (5) 旅行記なら、何でも集める。保存する
 III.あらわす
  (1) 章立てをする
  (2) 書き始めの工夫
  (3) 具体的な記述を
  (4) 参考文献
  (5) 読む人への配慮
 IV.考える
  (1) 他のことと関連付けて考える
  (2) 途中で疑問が出てきたら、さらに調べる。聞いてみる
  (3) 一歩、踏み込んで見る
  (4) 一歩、踏み込んで考える
 V.おわりに ―こういう宿題をやってもらった訳―
  (1) 書いてみることで、気にしてみることで見えてくるものがある
  (2) 今の姿・今の状況が当然なのではない
 VI.おまけ


I はじめに
 もう“すっかり”忘れてしまった頃かもしれませんが、2ヶ月半余りをかけて皆さんの夏休みの宿題を全て見せてもらいました。
@ 夏の旅の記録 =夏の間に、訪れたところについての記録、感想を具体的に。
A 地域について調べたこと =自分の住んでいる街(町・地域)や、興味のある場所(都市、地域、街、町)について何か調べたこと、考えたこと。
 上の2つのうちのどちらかを、1200字以上(なら無制限)という条件付きで取り組んでもらうことにしました。Xさんが「飛行機に乗るのが初めて。牛を生で見るのも初めて。一日にソフトクリームを2個食べたのも初めて」と書いているように、この夏休みにいろいろと初めてのことに出会った人も多かったようです。Xさんも、飛行機初めて、北海道初めてで、「旅行の感動は飛行機からはじまる。飛行機が初めての私は雲の上に感動した。なんだか、神様や天使がいそうな、それくらいステキな世界だった」と思ったそうです。1200字といえばわずか原稿用紙で3枚、レポート用紙なら1枚にすぎない量ですが、どうやら皆さんそんなわけで写真・イラストから地図、パンフレットなどなど総動員して色々と話してくれました。もちろん文章を中心としたいいものもあります。そこでこれからよりよいレポートを作ってもらうために、若干のコメントをお届けすることにしました。
 文中に2回、3回と登場する人もあれば、1回も登場しない人も沢山あります。多分、4分の1か、3分の1くらいのレポートが出てきているかと思います。登場したから「良い」とか、出てきてないから「悪い」とかいうものではありませんので、その点は承知しておいてください。また、ところどころで「こうした方がいい」とか「何が言いたいのか分からない」というような意味のコメントが付いているところもありますが、決して批判的な意味で言っているのではないので、必要以上に敏感に受け取らないでください。「こうすると、もっと良くなる」ということを伝えたいだけですから。
 それから、「私の書いたものを、先生はどんな風に見たのか」気になる人は、聞きに来てくださればちゃんとお話しします。また、どうしても「私も載せて」という人もリクエストがあれば、スペシャルバージョンを作りましょう。遠慮なくどうぞ。
 なお、皆さんの文章からもそのまま引用したところについては、読みやすいように、私が漢字に直したり、句読点を付け足したりしたところが若干あります。

II 調べる、旅行に行く
(1) 何を調べるか、どうやって調べるか
 何かについて関心を持って、それを調べたら、まず初めに「何について調べるのか」、「なぜ、それについて調べようと思ったのか」をはっきり書くようにしましょう。そうしないと、いきなり調べたことが書いてあっても、どうしてそれを調べたのかが全くもって分からないのです。例えば、Xさんは、「ロンドンのウェストミンスター宮殿について」焦点を絞ってよく調べたのですが、ただ、どうしてこれを取りあげたのかが書かれていない。「どっ、どうして“ウェストミンスター”なの?」と不思議に思ってしまうのです。「ひとこと」説明がほしかったというわけです。
 これはそんなに難しいことでなくてもいいのです。小さなことでもいい。Xさんは、「家にある馬の置物がドイツのマイセン社の製品で日本の有田焼と関係があるということを知り」、有田焼とマイセンについて調べました。Xさんは、「この世界から戦争がなくなり、平和がきてほしいと思い、今回イラクを調べました。なぜイラクを取りあげたのかというと…」という風に説明してあります。Xさんは、「私は特に「愛知県はどのように戦争と関わっているのだろうか?」ということを強く疑問に思いました」というのがきっかけです。Xさんはイギリス、Xさんはニューヨークというように、自分がいつか行ってみたいところについて何か調べてみるのもいいことです。「○○に行ってみたい」と思って調べてみると、今まではただ漠然としたイメージしかなかったところに、驚くほどたくさんの情報が入ってきます。ただ、Xさんの場合はいきなり「すべてはどのようにして始まったのか。自由をうたう像を作ろうという…」と書き始められているので、意表を突かれます。一番最後に動機が書かれているのですが。
 Xさんの場合は、「テレビで家の近所でオルゴール博物館をやっていることを知り、ちょっとした好奇心を持ち、博物館を見に行くことに」したそうです。でも、どうしてそこにオルゴール博物館があるのでしょうね。また、Xさんは、「毎年、蓼科に来ていて、とても大好きな場所だったからです」と動機が書かれていますが、もう一歩、どうして好きになったのかが書いてあるといいですねぇ。
 旅行の記録を書くときにも同じことが言えます。Xさんは、「バカンス村へはいると、花とリボンでつくった首かざりを首にかけてもらえて、ジュースももらえました」と始まっています。細かいことを見るのはいいことですが、細かいことから始めた場合には、途中で一度戻って大まかな説明があると、全体の状況がよく分かります。
 さて、何かを調べる対象を選ぶには、自分の身近なものを見直してみるというのもいいものでしょう。身近なものというのは、つい無関心に見落としがちなものですから。Xさんは「秀吉のゆかりの地と我が町の誇り」で自分の住んでいる周辺の地名について調べて、今まで「ごくふつう」と思っていた地名が「他にはない地名」というふうに見方が変わったそうです。Xさんは、笠寺観音に地元の隠された名品を見付けました。ここに笠寺観音のファン誕生といった感じの文章です。写真の日付が8月31日というのがなかなかいいものです。
 Xさんの場合は、「私の住む町:白金学区」について小学校の頃の貴重な?写真も貼り込んで話してくれました。街の中にある学校ですが「小学校は6年間ずっと1クラスだった」そうです。「ソフトボールも人数が少なくなって他の町内と昨年くっついた」ということですが、このように児童数・生徒数が減少していく中で、学校の部活なども複数の学校で合同でやっていく方向に進んでいくのかもしれません。ただ、そのような中でも学区の中でいくつも「お祭り」が残っているのはすごいことです。  Xさんは、「鶴舞公園の歴史」について、鶴舞公園にある古墳、池、像のない台座、銅像、噴水、公会堂、普通壇について調べました。普段は何気なく通り過ぎてしまうものを、おそらくいくつもの資料から調べたのであろうということが分かります。
 Xさんは、現在の所に4年生の時に引っ越してきたそうですが、1000年以上前の地形から、現在まで詳細に「千種学区」に焦点を当てて色々な資料から調べて記述しています。写真を黄緑色の台紙に貼ってから、レポート用紙に貼ってあって綺麗に見やすくなっています。
 おそらくおそらく他の人が着目しないようなことに取り組んでみるのも面白いかもしれません。Xさんは、アトランタオリンピックで活躍した国の中で、アメリカ合衆国のように大きくはない小さな国について調べてみようと思い、それはカリブ海周辺に多いことを発見して、それらの国々について調べました。ただ、そうすると「アトランタオリンピックに関係すること」というタイトルは、ちょっと合わなくなってしまいます。例えば「オリンピックで活躍するカリブ海の小さな国々」というようなタイトルが良かったかもしれません。なかなか内容にあったタイトルを付けるのは難しいのですが。
 Xさんは、「飯田街道・塩の道を追って」で、瀬戸内海から塩が信州へ運ばれていたことを調べましたが、塩を使う側だけではなく、運んだりして働く人側に立ってどうなるかも書かれています。Xさんは、「お城の歴史とその回りの土地利用について」という面白い着眼点で、お城とその周りの村との関係について調べました。最後のまとめがもう少しですが、「お城」でけでなく、また「村」だけでもなく、その関係に着目し、難しいテーマですがよくまとめてあります。
 これらの人たちは、特に何かに対象を絞って調べた例とも言えますが、旅行の記録の場合にも、旅行の中で興味を持った一部に対象を絞って書くのも、ひとつの方法です。Xさんは、最初に旅行行程全体が地図で示してあります。そして旅行の中でアルペンルートに対象を絞って書いてみました。ただ、「立山カルデラ」を見て、「社会でならった以外にもこんなカルデラがあることを学びました」と書いてあります。授業でお話ししたのは阿蘇、箱根くらいだったかと思いますが、まだまだいっぱいあります。「私が授業で話すことが全て」ではないということは知っておいてください。

(2) 方法について
 さて、何について調べたいかを考えたら、次は、実際に何を調べるのか、どうやって調べるのかを具体的に考える段階です。  Xさんは、「守山に50年ほども住んでいる祖母が、今までに古い建物、樹木の話などをしてくれた。ひまを見つけては見知らぬ所へ自転車を飛ばしていたら、家の付近には見られない変わった建物があった」ということで、自分の住んでいる守山を“再発見”しようと思ったそうです。そして図書館、区役所へも行ってみました。また、Xさんは、@「全国住み良い都市ランキングで人口5万人未満のクラスで全国1位」、A「祖父母が住んでいる」という理由で長野県の駒ヶ根市について調べてみることにしましたが、「まず駒ヶ根市役所に行き、いろいろと教えていただき、また、資料も頂いて来て、何を調べるかを決め」て、「光前寺」「武村家(江戸時代の庄屋)」「駒ヶ根郷土館」などをまわることにしました。
 ここでは調べた方法も書いておいてもらえると参考になります。Xさんは、行ってみたいイギリスについて調べましたが、「観光用ガイドブックから、雑誌、辞典まで、あらゆるものがあったのですが。そこでそれぞれの長所を生かして書きました」、「さらに地図帳に載っていた資料などをワープロでグラフにしたりと見やすいようにしました」というように調べた方法、気を付けたことなどが書いてあって、どのような考えでレポートを作ったのかがよく分かります。イギリスが好きなXさんには、木村治美『黄昏のロンドンから』(文春文庫)、林望『イギリスはおいしい』『イギリスはゆかいだ』(いずれも文春文庫)、藤原正彦『遥かなるケンブリッジ』(新潮文庫)などを推薦しておきましょう。
 今回のレポートを書くために、独自に、聞き取りや見学に挑戦した人も何人もいました。
 Xさんは、自分の住んでいる大治町について調べるために、農業については農家の人にお話を聞いたり、名古屋市に水を送っている「大治浄水場」に見学に行きました。Xさんは、有松町のことを調べるなかで「絞染問屋の中でも300年以上の歴史をもつ、竹田嘉兵衛さんのお宅があると知り、訪ねてみました。資料にあわせて外観の写真でも撮らせてもらえれば、と思っていたのですが、ご親切にも、家の中まで案内してくださり、少しお話を伺うことができ」たそうです。
 Xさんは付知町について、「下水道の普及率が低いことと学校の数が少ないことに気が付いたので、この2つのことについて、町役場で資料をいただいて調べてみることに」したそうです。人口ピラミッドで20〜25歳が少なくなっているのは、過疎化のところでやったように就職・進学などで都会に出ているからです。

(3) 調べる前の印象
 調べる前に、あるいは旅行に行く前に、自分がどういう印象を持っていたのかが書いてあると、その変化がよく分かります。  Xさんは、伊豆に旅行に行くにあたり、行く前の印象として「@伊豆っていなかみたいにレジャーのものとかないのかな? A海はどれくらいきれいなのかな」と書いてあります。Xさんは、高山に行くときに「“山車”は祖父母のいる伊賀上野にもあるので、どんなものかは知っていました。高山のと伊賀上野の山車では、どこがちがうのか、楽しみにしていました」と思いながら行ったそうですが、このような意識を持つことが大切です。
 Xさんは、「京都・神戸旅日記」の中で、「寝殿造は貴族のための造りで、武家造は武士のための造りだと教わったため、イメージとして、武家造より寝殿造の方がはるかに豪華であるというイメージをもっていた。だから、これを知った時は、おどろきだった」というように書いています。つまり、自分の持っていたイメージを書き、それと異なる点が書いてあるのです。
 Xさんは、「大文字五山送り火」について、まず、@「送り火について」で(あまり詳細とまでは言えないが)自分で調べたことをまとめてから、A「初めて見た送り火」で実際に行ってみての感想が書いてあります。Aは、「大文字。大文字が燃えていた。赤々と。人の心のこもった火が、私が見てきたものは、少なくとも、100年以上前の人達も見ている火なんだ。私は感激しました。火の暖かさ、そして時代を超えてたくさんの人たちが見てきたものを私が見たことを…」と書き始められています。前半で自分で調べたからこそ書ける文章でしょう。
 旅行に行く前から一番気合いが入っていたのは、XさんとXさんでしょうか。Xさんは、「初めて行く北海道。毎年このように旅行記を書いていますが、今年は宿題ということもあって、ちょっと張り切って書きたいと思います」と始まり、いつくかのポイントについて「左側のページ」に行く前に調べたこと、「右側のページ」には行ってみての感想などが書かれています。ちなみに旅行記で写真を貼ってくれた人がたくさんいましたが、自分が写っている写真を一番たくさん載せていたのが彼女です。思わず数えてみたら、27枚ありました。
 Xさんの場合は、「京都お寺巡り」というタイトルで、「長〜い前書き ―旅行に行く前の気持ち―」と始まります。ちょっと長いのですが、よく考えられているので、ここで見てみましょう。
 「ちなみに、なぜ不満たらたらだったのか、ということを書き添えておくと、それはあまりお寺が好きではないからだ。なぜあまりお寺が好きではないのかといえば、それは退屈だからだ」。
 「そこで、楽しい以外に、私にとって、「行く価値のある寺」というのはどういう寺か、ということを考えてみた。すると、「楽しい」寺以外に2つのタイプの寺を思いついた。
 1つは、「きれいな庭がある寺」である。見ていると心がなごむ庭、のんびりした気分になるような庭は、私も好きである。特に私は昔の宝物などを見ているより、庭を見ている方がずっと好きだ。だから、「きれいな庭を見る」ということはかなりの価値あることだと思う。
 もう1つは「有名な」寺である。これは「有名な寺くらいは実物を見ておきたい」という私の勝手な気持ちによるものである。まあ、「有名なのだから、立派に違いない」という思いもあるのだが。ちなみに、ここでいう「有名」とは、本当に有名な寺のことだ。ガイドブックに載っている程度ではダメなのだ。この「有名」に該当する寺は、私の感覚で言えば、金閣寺、銀閣寺、竜安寺くらいのものである。(中略)
 さて、あんまり前書きをたらたらと書いているわけにもいかないので、今回行った6つの寺のうち、特に印象深かった3つの寺について詳しく書くことにする。本当は全部書きたいのだけれど、あまりに長くなってしまうから…。」

(4) とにかく細かく調べる、いろいろ調べる
 何かを調べるには、テーマを絞るやり方もありますが、旅行に行ったところについて調べる場合などは、その行き先の色々なことについて、様々な角度から調べてみるのもいいものでしょう。
 Xさんは、インドネシア、バリについて本当に様々な角度から調べました。それは特産品、公用語、学校制度、産業、時差、通貨、気候、水、交通、荷物の運び方、地理、衣服、食物、昔ながらの家の配置、住居、遺跡、政治・社会、宗教と、こんなにたくさんになるのです。Xさんの場合は香港についてですが、「位置、面積、気候」「人口、言語、政体、通貨、香港のカレンダー」「香港の歴史」「香港の有名なモノ」「香港の経済」「香港の紙幣と通貨、文献」「感想」「香港地図」「写真」となっています。「香港の…」は分かっているのだから省略していいでしょう。電車に乗ったときの風景も「電車の中はたいして日本と変わりませんが、いすがステンレスでツルツルすべってカーブなんかでは、となりの人に倒れかかってしまいます。あと、つり革がバネの棒で先には丸い黒い玉がついておもしろいです」というように観察しています。

(5) 旅行記録なら何でも集める。保存する。
 何かを調べるときに、色々調べてみるのと同じように、旅行の記録を残そうとするときには、「何でも集める、保存する」という気持ちが出発点です。
 Xさんは、登別温泉、石水亭の銘菓「石水華」の包み紙が貼ってあったり、割り箸の袋とコースターも「このセットは、夕食の時のわりばしが入っていた袋とコップがのっていた紙です。汚さずにちゃんともって帰ってきました」とコメント付きで、さらに帰りの飛行機のJALの紙コップ、JAL特製「北海道 特選夕張メロンピュアゼリー エンプレス」の上蓋も貼ってあります。
 Xさんもなかなかすごい。行程表、搭乗券はもちろんのこと、ビーチの地図、機内食の案内、ホテルのメモ、レストランのパンフレット、空港内の案内パンフレット、ホテルでもらった日本からのファックスニュースなどなど。これぞ「旅人」の基本・鏡という感じです。
 Xさんは、7月30日〜8月17日までのオーストラリアホームステイ中の約20日間、1日全3食について「パンにシーフードや野菜をはさんだ物」というように網羅してあり、これは単純なことのように思えますが貴重な記録となるでしょう。

III あらわす
(1) 章立てをする
 テーマを持って調べたものを報告するとき、特に長めの文章を書くときには「章立て」をして整理しましょう。まず大まかにいくつかの「章」に分けて、さらに細かいことを書きたいときには、章を、さらにいくつかの「節」に分けてもいいでしょう。一応、このプリントも6つの章と、さらにその下にいくつかの節からできています。そうすると文章全体がどんなふうにできているのかが分かり、読みやすくなります。 
 Xさんは、「静岡県と茶の生産について」調べましたが、「歴史→現況→将来」に至るまで栽培条件も考慮に入れながら書かれています。Xさんは「京都の西陣織」について調べました。動機や感想が殆どないのは残念ですが、「概要→歴史→生産→丹後に出機→現況」というように順を追ってうまくまとめてあります。また、Xさんも、アイルランドの宗教事情について、「全般的事情→さらに自分の興味のあること→それを知るためにはまず…」というように、段階を踏んでうまくまとめてあります。ただ、最後にもまとめと感想があるとよかった。

(2) 書き始め(出だし)の工夫。
 Xさんは、こんな風に書き始めています。「“第二次世界大戦”と聞くと誰もが「広島、長崎、東京」と答えます。しかし、その陰に隠れ、人々にあまり知られていない豊川海軍工廠をねらいとした「豊川空襲」というのも起こっていたのです」。また、Xさんは、「7月10日、朝の7時30分。ここは学校の正門前。ここで一体何をしているのかというと…」と始めています。このようにちょっと変わった、読む人が“おやっ”と思うような工夫もあっていいと思います。

(3) 具体的な記述を
 調べたものをまとめるときや、また、旅行記録を書く場合にも同じことが言えるのですが、できるだけ具体的な例を挙げて説明しましょう。文章を書くということは、自分の記録としての意味とともに、「人に伝える」という目的があります。その場合に「○○を食べて、結構おいしかった」とか「○○を見て面白かった」だけでは何も伝わらないという気がするのです。
 Xさんの「翡翠の「中身」」は、段階を踏んでさらに奥へと進んでいく探求心がよく見えますが、「そこでは翡翠のことを、いろんな所でいろんなふうに伝えていた」と書いてくれても、読む人にとっては、どんな所で、どのように伝えていたのか、全く分からないわけです。例えばどういう所で、どんな風に伝えていたのかが書かれていると分かりやすくなります。
 Xさんの「陽気なフィジー人と勤勉なインド人の住む島」も、非常によく調べられていますが、最後に「フィジーはこれから日本のように、色々と発展していくのだろうか? 私の身勝手な願いでは、あまり変わってほしくない」と思ったのはどうしてでしょう? 市場は汚いところだし、お店には欲しいものがないと書いてあるのに…。そのあたりを話してもらえると、さらに良かったと思います。
 Xさんの「小樽の方へ向かっていった。函館とは違う感じがした」や、Xさんの「小樽運河が流れていて、またおもしろかったです」も、なんとなくそう思ったのかもしれませんが、どんな感じがしたのか、どこが面白かったのか具体的に書いてみるといいでしょう。
 それから、旅行記録の最後に最もたくさん使われた言葉は、「楽しかったです。機会があればまた行きたいと思います」というものです。これは止めていただきたい。
 具体的な表現・観察で旅の雰囲気がよく伝わったものとしては、Xさんの「ナイアガラ滝とカナディアンロッキー VIA鉄道の旅」は絶妙のイラストで、特にキャビンアテンダントのお姉さんの活動、揺れる列車の中で眠る様子などがうまく描かれています。Xさんの「私のバリ旅行」も所々に入っているイラストが的を得ていて旅日記としていい雰囲気です。
 Xさんの「のりくら登山」も、「名古屋、古川、乗鞍岳、野麦峠の位置関係は図@の通りです」と示してあったり、「塀のない家々では、美しい花壇があり村の人の温かな心が伝わってきます」というように記述が具体的で、読むだけでその場が見えるような感じがします。Xさんは、「伊勢長(いせちょう)」というお店で懐石料理を食べたときの様子を時間を追って克明に描いています。「黄粉のアイスクリームの次に海老の天麩羅」、「小さな鳥かごに入った酢の物」、「おすましに焼きおむすび」などが出てきたそうです。

(4) 参考にした資料・本
 Xさんは、郷土誌「大須」、大須小学校成人部発行「大須観音」、略縁起 七寺、略縁起 大須観音、小冊子「新装なった万松寺」を挙げています。Xさんは、『万有百科事典』(小学館)、Xさんは、「参考文献:琵琶湖の自然史(八坂書房)」とちゃんと書いてあります。余談ですが、Xさんをはじめ多くの人が写真を貼ってくれましたが、写真を貼るには写真専用ボンド、または「コーナー」(←もはや死語となりつつあるが私は愛用している。お父さんやお母さんに聞いてみると、きっと知っているでしょう。フリーアルバムやポケットアルバムよりも美しく見えます)を使うと綺麗に貼ることができます。
 それで、参考にしたものを書くときには、著者、題名(タイトル)、出版社、出版年を書いておけば完璧です。自分が知らないことを教えてくれた人に感謝する意味、また、自分よりも先に調べた人に敬意を表す意味でも、参考にした本・資料をちゃんと書いておきましょう。

(5) 読む人への配慮
 Xさんは、「股引」、「草鞋」など難しい漢字にはフリガナが付けてあります。ちなみにこれらは「ももひき」、「わらじ」と読みます。
 Xさんは、万が一レポートがバラバラになったときのこと思い、一枚一枚、下の方にちっちゃな字で「牧の」と書いてあります。この配慮が嬉しい。
 Xさんはポケットアルバムに写真を入れてくれましたが、左ページに写真、右ページには紙を入れて説明があるので分かりやすい。Xさんは、自分の家の近くの史跡を調べましたが、写真の切り抜き方を工夫したり、全体の紹介図、イラスト、レポート用紙にピンク色の手製簡易表紙が付いています。また、Xさんは、文章とは別に大型クリアファイルに画用紙を入れた(文章付き)アルバムを作りました。これなら保存にも良いグッドアイディアです。Xさんの場合は、特製アルバムだけでも十分な旅行記になっていますが、別冊でより詳細に文章による記録が付いています。

IV 考える
(1) 他のことと関連付けて考えてみる
 何かを見て、それと今までに知っていることと結び付けると、さらに広く物事を見られるようになります。Xさんは「1894年に建てられたわけだ。でも確か、1894年は日清戦争の年じゃ…」というように、あることを、年号(時代)を結び付けて考えています。また、Xさんは、アンダーセン基地のパイプラインを見て、「ふと、沖縄の基地問題のことを思い出します。今日からアトランタでオリンピックがはじまります。五輪の輪のように世界で戦争などすべてなくなれば、基地の問題も、なくなるのです」と考えています。

(2) 途中で疑問が出てきたら、さらに調べる。聞いてみる
 調べていく途中で、さらに興味あることが出てきたり、旅行の途中に不思議に思ったことがあったら、すぐに聞いてみたり、後から調べてみるといいでしょう。その時には、やはり一度自分で考えてみてから、聞いたり調べたりするのがいいと思います。
 Xさんは、尾瀬に行って、「湿原の土は、栄養分が少なく、樹木の生育に適していないということを、昔、何かの本で読んだことがあります。しかし、尾瀬ヶ原には樹木が沢山生えていました。私はこのことが、とても不思議に思えたので、調べてみることにしました」というように、旅行記録の途中でも調べてみたことが入れられています。Xさんも、「近江八幡への旅行」の2日間の行動を書いた後、「そして私は国民休暇村に興味を持ったので、調べてみることにしました」。
 Xさんは、白馬への旅行でわさび園を訪れて、「うねが土ではなく、砂利で作られていたこと」を不思議に思いました。そこで、それがどうしてなのか、まず自分で「わさび園の水は常に流れていて、止まっているところがなかったので、私は土だと水に流されるけど、砂利なら流されないから砂利でうねを作っているのかな」と予想を立てます。そして、園内の人に聞いてみると「わさびは土を嫌い、泥が付くと病気になってしまうそうです。だから常に水を流し、泥を落として、少しでも泥が付かないように育てているそうです。植物や野菜を育てるには、その植物や野菜の性質にあった環境を作らないといけない」ということが分かりました。

(4) 一歩、踏み込んで見る
 III―(3)で、「具体的な記述を」と話しましたが、そのためには、目の前にある風景を、単にそのまま見るだけではなく、さらに一歩踏み込んで、よ〜く見る見る必要があります。
 Xさんは、長良川の源流に行って、「帰るときに気がついた事ですが、分かれた水は20mといかないうちに生活排水とまざって長良川へ流れていきました。 … そしてそのまま生活排水とまざって道路の下を通り、長良川へ…。 がっかりしました。 この分水嶺も、もともと自然な分水嶺だったものを、観光地になったために人工的に作り上げたものなんでしょうか…?」、「分水嶺も「観光地」になったため、“形がくずれないように”と人の手が加えられたのでしょう。源流は石でかこまれていました」というように見ています。
 Xさんは、名古屋と山梨のちがうところに気が付きました。それは「名古屋ではコンビニというとサークルKやローソンが中心なのに対し、山梨では圧倒的にセブンイレブンが多い」ということです。普通、コンビニとかスーパーは「ドミナント戦略」と言って、ある地域に“どばっ”と集中的にお店を出します。そうすると商品を配送するのに効率がよく、また宣伝をするのにも都合がいいからです。
 Xさんは、内海で夕日を見て、「私は、ずっと夕日の色はオレンジだと思っていましたが、ずっと見ているとどんどん色が変化していくのです。沈みかけたときはオレンジ、半分隠れたときは朱色、そして沈んだ時には、なんと紅色でした。夜のコバルトブルーが来る前には、水色と紅のグラデーションになります。水色→黄色→山吹色→オレンジ→瑪瑙色(サードオニックス)→朱色→紅色。きっと、自然だからこそできるのでしょう。私の記憶によれば、水色と朱色を混ぜるととんでもない色になるのですから」というように詳細に見ています。ただ、「水色と朱色を混ぜてとんでもない色になる」のは、「絵の具」の場合で、「光」を混ぜる場合はまたちょっと違うのではないかと思います。そのあたりは理科で勉強してもらいましょう。
 Xさんは、「高速道路を降りて浜名湖へ向かう新しい広い道を進んでいると、まわりの景色は家と畑と店と工場がごちゃまぜに点在していて、妙に落ち着かない雰囲気だった。都会のものはあるけれど何だかいなかっぽい、そういう不思議な感じがした」そうです。これは先日の授業でやった「スプロール化」が進んでいる都市近郊の様子を感じとっているわけです。
 Xさんは、「私の故郷、名古屋」で大発見をしました。名古屋の都心地域の地図を見ていて、「意外なことに気付いたのです。それは、1丁目や1番地が必ず名古屋城の方を向いていることです」は「なるほど〜」という感じです。私も詳しいことは知りませんが、名古屋では、戦後「住居表示」が変更されました。それによって例えば名古屋駅前の「笹島」とか「柳橋」という古くからの地名が消えて、「名駅4丁目」とか「名駅南1丁目」というような呼び方になりました。この時に「名古屋城に近いところから1丁目、2丁目…と付けよう」と考えたのかもしれません。

(5) 一歩踏み込んで考える
 さて、色々と調べてみたら、単純に「そういうものか」と納得するだけではなく、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。  Xさんは、“日本一うるさい祭り”と言われる桑名の「石取祭」を見て、驚いたことを「毎年ですが、3つのことに圧倒されます。一つ目は、和太鼓と鐘が出す音のとても大きいことです。(中略)二つ目は、櫓倉の大きさです。(中略)最後の一つは、櫓倉の飾りのすごさです」というようにちゃんと整理しています。
 Xさんは、多治見市の美濃焼について調べましたが、現在は以前ほどは焼き物造りが盛んではないそうです。そこで「まず、昭和50年代と平成6年の統計で、昔と比較し、どう変化してきたのか調べることにしました」。つまり、「盛んではない」という印象で終わるのではなく、実際にどうなっているのかを数字で見てみることにしたわけです。その中で、「従業者の減少とそれでもなお製造品出荷額が増えていること」から次のような3つの分かることを考えました。@陶器を造るという地味な仕事をやる若者が減ってきた。A陶器の価値が高まってきた。B窯業はたいへん儲かる仕事
 さらにXさんは考えます。「(窯業はたいへん儲かる仕事のはずなのに)それでは何故、お金がたまる仕事なのに、従業員数が減ってしまったのか」と。そして「一人前になるには時間がかかる。少しできるくらいでは本業としてやっていけない。それまでは造っては反省することの繰り返し」、「能力ときっかけ、運、努力」というお話を聞いて納得できたわけです。それにしても@、AからBへの論理の飛躍はなかなかのものですが、まぁいいでしょう。
 また、Xさんも、「THE美濃路」というテーマの中で「これまでのデータを見ても名古屋宿と清洲宿が全然違うことが分かるが、もっと色々な数値で比較してみよう」ということで表を作ったり、「美濃路の中での名古屋宿・清洲宿間とは」この問いに対しては、どの資料にも、答えとなるものがのっていなかったので、私なりに考えてみました」というように
 Xさんも、「瑞穂区の人口について」、世帯数と人口の推移、自然増減、社会増減、年齢別人口の推移、人口ピラミッド、学区別世帯数・人口、学区別人口推移など、自分でグラフにしてみました。記述はあるのですが、どうしてそうなるのかの考えてみると、さらに良かったでしょう。
 Xさんは、「日本の新空港」で関西新空港のことと、その影響を調べましたのですが、新空港の開港と対岸の人口、小学校数との関係で見てみようとしました。でもね、人口とか小学校の数は、そんなに急には変化として出てこないし、他の理由も関わってくるので、これを結び付けるのはちょっと困難だったようです。でも、その姿勢は大切。それに中部新空港を作るにあたって頑張ってほしいことを自分の意見で書いてあるのがいいところです。
 最も激しい感情の動きを感じたのは、Xさんの「…熊たちめがけて、ザーッと残飯が流し入れられた。悲惨な姿だった。見たくなかったと思った。すごく気分がめいった。動物愛護協会に訴えようかと本気で思った」というものでした。
 Xさんに、再び登場してもらいましょう。
 「最初は気乗りしなかったこの「京都お寺巡り」、いろいろあったが、何とか無事終えることができた。この旅行を終えて、色々思ったことがある。それは、一言で言えばお寺について、さらに大きく言えば京都についてである。
 今まで私は、お寺というものは建てた時代を象徴するものであり、きれいな庭がある寺はわずかだと思っていた。だから当然、京都というのは自然の少ないところだと思っていた。しかし、本当は全く逆だったのだ。今回行ったところはどこも美しい自然やきれいな庭があった。
 そして、前書きに書いた、「行く価値のある寺」について、私は楽しい以外に2つのタイプをあげた。そのうち、「きれいな庭のある寺」の代表として醍醐寺、「有名な寺」の代表として平等院をあげ、2つを比べてみると…。どちらも美しく、どちらも感動した。しかし、平等院へ行って感動したのは、“有名だったから”ではない。醍醐寺とほとんど同じ理由で感動したのである。このように、お寺には有名さは関係なく、お寺は美しいから感動するものであり、京都もまたそうであることが分かった。こうして考えてみると、お寺というのはなかなか奥の深いものである。お寺巡りもなかなかいいものだな、と思ってみたりした。
 この文章は私の主観によるものだから、みんあがみんな同じ考えなわけはないけれど…。」

V おわりに ―このような宿題をやってもらった訳―
(1) 書いてみることで、気にしてみることで見えてくるものがある
 Xさんは、「中学生になって初めて世界地理を学んだ。だからハワイ旅行に行くにあたって、今までのようなただ遊ぶだけを目的とした旅行ではなくて、ハワイという場所の文化とか生活などを色々な面から見てこようと思った。また、ハワイと日本の共通点を見つけたり、違う点を見つけたりすることを楽しみの一つにしようと思っていた」。
 Xさんは、北海道を旅行して「そこは名古屋にはないものがたくさんつまってて、のどかで、おだやかなところでした。感想をひとことで言うと「自然、おいしさ、楽しさがい〜っぱいだった」ですが、私なりに細かく書いていこうと思います」と初めに書いてあります。
 Xさんは、「やっぱり生き残っていくためにはクジラでも軽井沢でも、その時の様子によって自分自身(?)を変えてかなくちゃいけないんだな。きっと? 私が今年見た軽井沢は、軽井沢の歴史のほんの一部にすぎなかったのだ。私、軽井沢へこれで2回行ったのだが、前は「すずしい所」として感じなかった軽井沢がこのおかげで七色にかがやいた気がする。その土地について調べるだけで、こんなふうにまわりがくっきりしたように見えるなんて、なんか初めてで、おどろいてしまった」。
 何か、新しいもの見えました?

(2) 今の姿・状況が当然なのではない
 Xさんは、「(フォレストパークから絶景の海を眺めて)地球は美しいって思えるのは、とっても幸せなことなんですね」と書いているように、普段の自分の生活を離れることで、今の自分の生活が、どういうものかを感じることができるのではないでしょうか。また、Xさんのように「自分が今当たり前と思っているくらしが、実はとても幸せなことなんだと思えてきました」と感じている人も何人かいました。
 Xさんは、鹿児島県知覧町の「特効平和公園」に展示してあった「遺書」の内の2つを自分で写しました。コピーではなく。「こんな遺書を残して出撃していった特攻隊の人たちのおかげで今の日本はこんなに裕福なのだと思います。この平和会館には是非一度行ってもらいたいと思いました。戦争の悲しさがよく分かります」。
 Xさんは、高蔵寺の変化をおばあさんの話からまとめました。おばあさんの「えりゃぁ変わってまって」という言葉は、土地の言葉でその変化を端的にあらわしています。今ある風景が当然のものではない。ずっとこんな風だったのではない。今の生活が当たり前のものではないということに気が付くことができたようです。

VI おまけ
 Xさん:「きっと私は大人になってもジュゴンの前で立ちつくしている」
 Xさん:「初めて海外ということもあり、パスポートたるものをながめながら、指おり数えて待っていました」 → この気持ち、よ〜く分かります。
 Xさんは、「サウジアラビア、トルコ、シンガポール 三国旅行記」で、小さな項目毎に、一見淡々と書いてあるのですが、なかなかよく観察しています。そして、項目毎に最後に一言まとめのような教訓のようなことが書かれているのです。⇒「アラビア人は、やる気がないうえよくさぼる」「暑いと何でも熱くなるのがアラビアだった」「探してもイルカは見られない。ボンヤリ見てると見つけるらしい」「馬は乱暴、近付きすぎに注意」「トルコ人、ベンツも何でもボロクてポンコツ」「沖縄のTシャツを着てたら、叫ばれた。“オオー、オキナワー、アイシー”」「天井の高さもまたトルコ人の高いところ好きをあらわしている?!」「(夜間動物園で…)動物好き、4人家族が闇を行く」
 Xさん:「途中には“道の駅”なんていう名前のお土産屋さんもありました」。 → 道の駅は、市町村や公的団体による言わば「公営のドライブイン」です。1993年にスタートして、現在全国に313の道の駅が建設省に登録されています。そこには休憩施設や土産物を売るお店、地域の情報を提供するところなどがあります。岐阜県には13の道の駅があり、全国で4位、愛知県には「伊良湖クリスタルポルト」「田原めっくんはうす」「鳳来三河三石」など5カ所があります。(『道の駅』ケイブンシャ,1996年より)
 Xさん:「来年も、来れたら来たいと思う。そして、いつかは、長良川の橋の上から飛び込んでみたい。しかし、まずは、今回何度もちょ〜せんするが、けっきょくできなかった頭からダイブを、来年はマスターしたい。そのためにはもっと根性をつけなければいけない。だからがんばる。(←なにを?)←とにかくがんばるのだ」。
 Xさん:「私の家のまわりでも、まるで“トトロ”が住んでいそうな森に囲まれ、ふきのとうやタケノコがいっぱい生える竹薮があったりと自然の豊かなところで、私は気に入っています」 → 「トトロ」の舞台となったのは、埼玉県の所沢の辺りです。そこには実際に「トトロの森」もあるのですが、トトロはいませんでした。
 Xさん:「何で名古屋は他の都市よりもあついのでしょうか? 名古屋は車などから出る排気ガスのせいで、気温が上がっているのでしょうか」。→ 夏の大都市は周辺地域よりも気温が高くなります。これは排気ガスの他、エアコンの室外機から出る熱風、ビルのガラスやコンクリートの反射などによります。気温の分布図で見ると、大都市のところがぽっかりと気温が高くなっているので、「ヒートアイランド(熱の島)」と言います。
 Xさん:「浜松駅の近くに行くと、佐鳴学院の本部を見ることができた。どうやらこの“佐鳴”は地名らしいということが分かった」。 → 「佐鳴」は、浜松の市街地の西のほうにある住宅地区の名前で、おそらく「佐鳴湖」という湖の名前からとったものです。ちなみにこの地区のことは、教科書167〜177ページに詳しく登場しています。
 Xさんの「ハワイな一週間」によると、ホノルル行きの飛行機で出されるコーヒーはホノルルに近付けば近付くほどうすくなるらしい。日本行きはその逆だとか…。本当?
 Xさんの「うきうき北海道旅行」傑作写真:網走監獄で並ぶ田島三姉妹。そっくり。みなさん御覧ください。
 Xさんはハワイ旅行に行って、「売り場の店員さん(女性)に、『にこっ』て笑ってもらって、なんか、うれしくなった。(以下、色付きのペンで→)女のくせにどきっとしちゃった…」そうだ。また、太平洋の波は“ザザザザザッ”と連続してすごいらしい。
 Xさんは北海道で「全身チキン肌」になったらしい。
 Xさん:「ジュゴンとマナティーは人魚の先祖のようなものらしいが…」 → 「先祖」ということは、ジュゴンやマナティーが進化して、人魚になったということ???
 Xさんの「夏休み 蓼科 箱根 車山 レポート」というタイトルは、「なつやすみ たてしな・はこね くるまやま」の5・7・5になっているらしい。
 Xさんは、北海道の「アイスパビリオン」でマイナス20℃、マイナス40℃を体験。寒いところが大好きで「中に入って歩いている時、笑いが止まりませんでした。特に氷点下40℃の所では、もう楽しくて仕方がありませんでした」。
 一番派手な表現をしていたのは、Xさんでしょうか。例えばこんな感じです。鳥取&島根の旅について、「どんどこどんどこいきました。スースースー私はねてました」、「今日は雨、雨、雨。カビチョバーン」。
 Xさんは、自分が住んでいる豊明市に関係ある桶狭間の戦いについてしらべて、「もし、この戦いの勝負が逆転していたら、明治、大正、昭和、平成の現代史まで大きく改まっていたと思います」。桶狭間の戦いではありませんが、「もしも…」のお話として、清水義範『金鯱の夢(きんこのゆめ)』(集英社文庫)という小説は、なかなか面白いそうです。豊臣秀吉に子供がいて、全国統一がなされたあとを継いで名古屋に豊臣幕府が開かれる、そして現在に至ると首都は名古屋になっているという架空のお話です。
 Xさんが日光猿軍団を見て…「キャハハハハ。あのおしゃるしゃん、かあいい〜〜。」ここまで結構冷静に書いてきたところに…。
 Xさんの言葉で終わりにしましょう。「この旅行につれていってくれた父や母に感謝したいと思います」。